6月 14 2016

不動産所得の事業的規模の有無における取扱い

Q不動産所得は事業的規模で行われているかどうかにより取扱いが異なりますか。

A不動産所得は、これを事業と称すべき規模で行っているかどうかにより、その取扱いに違いがあります。不動産の貸付けが事業的規模で行われている場合には、事業所得と同様の取扱いとなりますが、事業的規模に至らない場合には雑所得に近い取扱いとなります。

 

Q事業的規模かどうかの判定はどうすればよいですか。

事業的規模であるかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で不動産の貸付けを行っているかどうかにより判定することになります。

ただし、建物の貸付けについては、次に掲げる基準のいずれかに該当する場合には、原則として事業として行われているものとして取扱われます。

(1)貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10室以上であること。

(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

 

Q事業専従者の取扱いは異なりますか。

事業的規模であれば、青色申告者については青色事業専従者給与の必要経費算入が認められおり、白色申告者については事業専従者控除額が必要経費とみなされる取扱いがありますが、不動産の貸付けが事業的規模で行われていない場合には、これらの適用はありません。

Q青色申告特別控除の取扱い異なりますか。

A事業的規模である青色申告者は、不動産所得に係る取引を複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、最高65万円を控除することができますが、事業的規模でない場合には最高10万円の控除となっております。

(名古屋税理士会関支部・勝野高司)

 

6月 02 2016

相続した空家、譲渡の特例を受けられるかもしれません

はじめに

平成27年5月26日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が完全施行されました。これは管理等がなされず老朽化した空家が増加し、防災や衛生などの面から問題となる事例が多くなってきたこと、そして今までの法律ではそれらに対処できなかったためです。
税金面でも昨年、一部の空家の敷地に対する固定資産税の優遇措置が変更されました。そして今年もまた新たな制度の創設がありました。
相続した空家を、平成28年4月1日以後に売った場合の利益についての特例です。以下の条件に当てはまれば3,000万円の特別控除が使えますので、最大で約600万円の大幅な減税となります。

  1.  昭和56(1981)年5月31日以前に建築された一戸建て
  2. 亡くなった人が、亡くなる直前まで一人暮らしをしていた自宅
  3. 売却するまで、誰かが住んだり、貸したり、事業に使っていない
  4. 亡くなった日から3年後の年の年末まで(亡くなった日が1月1日の場合だけは、2年後の12月31日となります。)に売った場合
  5. 建物を解体するか、耐震基準を満たすようにリフォームしてから売る
  6. 売却代金が1億円以下

 

土地・建物の譲渡所得

特例の解説の前に、不動産を売却した時の「譲渡所得」について簡単に説明します。
個人が土地や建物などの不動産を売却した時には、給与所得や事業所得などとは区分して譲渡所得に所得税・住民税が課税されます。こう言うと難しく感じるかも知れませんが、買った金額と売った金額との差益だと考えれば、分かりやすいでしょう。ただし、建物は使用と期間の経過で価値が減少するため、それを計算に入れます。買った金額が分からない場合は、売った金額の5%で購入したとして計算することができます。この差益から、売却時の諸費用などを差し引いた金額が譲渡所得となります。
この譲渡所得にたいして、長期なら15.315%の所得税(復興特別所得税を含む)と5%の住民税がかかります。短期なら30.63%の所得税と9%の住民税がかかります。売却した年の1月1日で5年経っているかどうかで、長期と短期とに区分されます。
この特例では、さらに最大で3,000万円を0円になるまで引くことができます。

 

特例の内容

それでは特例の内容を確認していきます。まず、建物については「区分所有建物に該当しない」と決まっていますので、マンション等は除外されます。建物の耐震基準が昭和56年6月1日に改正されていますので、それよりも古い建物が特例の対象となっています。
また、亡くなる直前の生活の本拠であることが条件ですので、老人ホームに入居した場合は対象外となります。この部分は相続税の小規模宅地等の特例とは扱いが異なりますので、注意が必要です。
特例の対象となる売却の時期については、亡くなった日の3年後の年の年末まで(亡くなった日が1月1日の場合だけは、2年後の12月31日となります。)とされています。そして、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの売却に限ると、条件が付いています。なお、相続税の取得費加算の特例とは選択適用であり、両方を使うことはできないことにも留意が必要です。

 

まとめ

今回の特例は、多額の税金を引き下げる効果がありますが、条件が細かく、制約も多くあります。利用できるかどうかの見極めには、専門家である税理士の助言が不可欠だと思います。利用が可能であるならば、期間に制約がありますので、売却の検討は早めに進めても良いのではないでしょうか。

(税理士 水野貴文)

6月 02 2016

ドイツ・ミュンヘン税理士会との国際交流深まる

名古屋税理士会は、平成十三年十月、ミュンヘン税理士会と友好協定を締結以来、現在に至るまで国際交流が続いています。この友好協定は平成十二年七月に日本税理士連合会公開研究討論会実行特別委員会のメンバーが、欧州研究視察訪問の際に当時のミュンヘン税理士会のシュタイン会長(故人)の「是非、友好協定を結びませんか?」という一言から始まりました。友好協定締結時に取り交わした「友好親善合意書」には、

一.名古屋税理士会とミュンヘン税理士会は、相互の理解を深めていくことを目的に、両団体の間での定期的な交流を推進する。
二.両会は、租税及び財政制度に関する研究に絶えざる進歩を図ることを目的に、税務及び会計制度、税務行政並びに租税救済制度における研究及び情報を交換する。
三.両会は、税理士の社会的使命の向上に資するために、また税理士制度の絶えざる発展に寄与することを目的に、日本とドイツにおける税理士制度と税理士業務についての情報交換、会報交換など、多様な形式により広汎な交流を推進する。

との合意に基づき、夏季オリンピックの開催年にミュンヘン税理士会が名古屋を訪問され、サッカーワールドカップの開催年に名古屋税理士会がミュンヘン税理士会を訪問する、二年ごとの相互訪問がルールとなっております。リオオリンピックが開催される本年は、十月に来会される運びとなっております。

前回来会の平成二十四年には東京・帝国ホテルにおいて開催された日本税理士連合会主催税理士制度七十周年記念式典の来賓として出席の後、名古屋に移動し、両会役員と「税制改正と税理士会について」などの意見交換会。また、「日独の税務における電子政府の現状と課題について」と題し、基調報告及びパネルディスカッションを開催しました。

今回の来会に際し、現在、名古屋税理士会総務部及び名古屋税務研究会のメンバーを中心に国際プロジェクトチームを結成し来会準備を進めており、両会役員との意見交換に加え、「日独における納税者番号制度について」や「日独における中小企業税制について」をテーマとしたシンポジウムを予定しています。特にミュンヘン税理士会の方々は、マイナンバー制度導入後の状況とこれからの展望について深い関心を寄せています。また、税理士界と行政のインターフェースについてや、日本と同様少子高齢化が進む中にあって、税理士の若手育成及び事務所専門職員の育成について、どのような対策が取られているかなどについて、高い関心があるようです。

両会の交流も回を重ね、共通の課題を検討していく中で、税制や税理士制度への認識がさらに高まるとともに、滞在期間を利用して、日本・名古屋における文化や自然に触れることで、両会の絆がさらに深まりゆくよう、名古屋税理士会としてのおもてなしで、お迎えしたいと思っております。

税理士 渡邉 雅夫

6月 02 2016

中部経済新聞 28年6月分  サラリーマンの副業と確定申告

Q マイナンバー制度の導入で、副業の収入について心配されている人も多いと思います。サラリーマンの副業についての収入と確定申告との関係について教えてください。

A 副業については、まずその収入が給与所得なのかそれ以外の所得かで取扱いが変わってきます。例えば、昼の仕事の他に夜コンビニでアルバイトをしている場合は給与所得、ホステスの仕事やオークションで儲けを得ているような場合は雑所得(または事業所得)となります。ただし、使わなくなった生活必需品をオークションで売った場合は非課税です。副業が給与所得で、収入が20万円を超える場合は、本業の所得と合算して確定申告しなくてはいけません。

Q 副業の収入が給与以外の所得だと、どのような扱いになるのでしょうか?

A 給与所得以外の所得につきましては、所得が20万円以上の場合に確定申告が必要になります。この場合、あくまでも「所得」であり、「収入」ではない点に注意してください。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額になります、例えばホステスの場合は衣装代や交通費等、オークションの場合はその商品の仕入代金やオークション利用手数料等が必要経費となります。

Q 確定申告すると副業が職場に必ず通知されるのでしょうか?

A 確定申告書の二表に「給与・公的年金等に係る所得以外の住民税の徴収方法の選択」という枠がありますので、「自分で納付」の欄に○をつけておけば、副業に関する住民税は自分で納付することになりますので、職場に副業の所得について通知されることはありません。ただし、「給与から天引き」の欄に○をつけると、本業の所得と合算されて職場に通知されますのでご注意ください。

税理士 武山卓史

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