9月 13 2016

太陽光発電による売電収入と所得税

Q 自宅に太陽光発電装置を設置して売電収入を得た場合、確定申告が必要と聞きましたがどのようにするのですか?

A  売電収入から必要経費を引いて、事業所得(大規模なもの)または雑所得として申告します。なお、余剰電力売電と全量売電では所得の計算方法が異なります。

Q 所得の計算はどのようにしますか?

A 所得は収入から必要経費を差引いた金額です。

必要経費は、「太陽光パネルの取得価格(設置のための工事費用等を含む)」をもとに計算した減価償却費、取得のための借入金の利子やメンテナンス費用などです。

1年間の減価償却費は、「太陽光パネルの取得価格」×0.059(法定耐用年数17年の償却率)の計算式で求めます。年の途中で取得した場合は、売電収入を得た月から12月までの月数で按分して計算します。

全量売電の場合は、売電収入から必要経費の全額を差引いた金額が所得となります。

余剰電力売電の場合は、全発電量のうち自宅で消費した電力量を上回る部分が売電収入となりますので、必要経費の全額を差引くことはできません。したがって、全発電量に対する売電した電力量の占める割合に応じて按分計算した必要経費を売電収入から差引いた金額が所得となります。

Q 所得が少なくても確定申告する必要がありますか?

A 給与を1 か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の場合など、確定申告をしなくてもよい場合がありますので、税務署や税理士にお尋ねください。

 (名古屋税理士会岐阜南支部・田中雅裕)

9月 01 2016

住宅の多世帯同居改修工事等に係る特例の創設について

平成28年税制改正において、出産・子育てへの不安や負担が大きいことが少子化の要因の一つであることを踏まえ、安心して子供を育てられる環境整備の手段として、世代間の助け合いを図るための多世帯同居を促進する観点から、住宅の多世帯同居改修工事等に係る特例が創設されました。ここでは、住宅借入金等で一定の多世帯同居改修工事を含む増改築等(以下「多世帯同居改修工事等」という。)を行った場合を説明します。

一 適用要件

1 その者の所有する居住用の家屋であること。
2 その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間にその者の居住の用に供すること。
3 多世帯同居改修工事等を行ったこと。
4 工事後の住宅の床面積が50㎡以上で、その2分の1以上に居住していること。
5 合計所得金額が3000万円以下であること。
6 対象となる住宅借入金等は償還期間5年以上であること。

(注)3の多世帯同居改修工事等とは、①調理室、②浴室、③便所又は④玄関のいずれかを増設する工事(改修後、①から④までのいずれか2つ以上が複数となるものに限られます。)であって、その工事費用(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるものをいいます。

二 税額控除額・控除期間

住宅借入金等で、多世帯同居改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高(1000万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合に相当する金額の合計額が所得税の額から控除されます。

1 一定の多世帯同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高  2%
2 1以外の住宅借入金等の年末残高  1%
また、控除期間については5年間となっています。

三 注意点

この控除を受ける場合には、確定申告書に控除に関する明細書、多世帯同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類、登記事項証明書及びその他の書類の添付がある場合に適用されます。多世帯同居改修工事を証する書類についての発行元は、

1 住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関
2 建築基準法に規定する指定確認検査機関
3 建築士法の規定により登録された建築士事務所に所属する建築士
4 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定による指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人
となっています。この書類の発行には時間がかかる場合があるので、発行元に早めに依頼するとよいでしょう。

またこの特例は、住宅借入金で一定の要件に当てはまる居住用家屋の増改築等をし、居住の用に供した日の年分以後10年間税額控除の適用がある「住宅の増改築等に係る住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除」との選択適用ですので、どちらが有利か検討して選択するほうがよいでしょう。また、この特例のタイトルを一見すると、多世帯同居が適用条件と思われがちですが、そのような要件はないので注意が必要です。

また、多世帯同居改修工事等を自己資金で行った場合、一定の要件のもと、その年に限り、税額控除の特例があります。
詳しい内容については、最寄りの税理士か税務署にご相談ください。

【税理士 古屋 明栄】

9月 01 2016

Q&A 経営戦略のツールとしての「会計参与制度」

平成18年に施行された会社法にて新たに設けられた会計参与制度とはどのような制度であるのかについてQ&A形式で解説します。

【Q1】会計参与とはどのようなものですか?

【A1】会計参与とは、取締役と共同して計算書類等を作成することを専門とする役員をいいます。計算書類を専門的に作成できる者でなければならないということから、会計参与になる資格があるのは、主に税理士とされています。

 

【Q2】会計参与制度にはどのような効果がありますか?

【A2】会計の専門家が計算書類の作成過程に携わることから、正確性の高い計算書類を作成することができるようになります。
そして、正確性の高い計算書類であれば、企業外部の第三者は、企業が作成した計算書類を信頼して利用しやすくなります。例えば金融機関からの信頼が得られれば、会社の定性的評価が高まり、借入利率の低下というメリットを受けることができるかもしれません。融資に際して迅速な審査や金利優遇などを行っている金融機関は全国に存在します。また、建設業の場合であれば、公共工事の入札時に必要な経営事項審査でポイントが加算されるというメリットもあります。
さらに、適切な計算書類を作成することができれば、自社の正確な財務状況を把握することができるようになるため、適切な経営戦略の策定が可能になります。

 

【Q3】デメリットはありますか?

【A3】会社がメリットを受ける一方で、税理士側は、業務も責任も増加すると言われています。このことから、顧問税理士に会計参与就任への打診をした場合、その増加する業務と責任に対応する報酬が生じる可能性があり、特に報酬が大幅に増えるようなことがあればデメリットと言えます。このようなデメリットがあるのであれば、費用対効果を総合的に勘案しながら、導入の要否を検討することになるものと考えます。

【税理士 吉岡生馬】

9月 01 2016

名古屋税理士会が取組む外国人のための税務支援

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。(税理士法第一条)

この理念に基づき、全国の税理士会は、申告納税制度の維持・発展に寄与すべく、「税務支援」事業に取り組んでおり、名古屋税理士会では、十七支部での確定申告期無料税務相談所の開設と、青色申告会や商工会議所等の団体への税理士派遣などを行っています。

特徴的なものでは、公益財団法人名古屋国際センターとの共催事業として、「外国人のための税理士による税務相談会」を毎年開催しています。

平成二十八年確定申告期(平成二十七年分申告期)においては、二月中旬から三月初旬の土・日を中心に七日間で六十六名の外国人納税者の相談を十五名の税理士により対応いたしました。今回においてはブラジルの方が最も多く、続いてペルー・フィリピン・アメリカ・英国・カナダ等の十七か国の相談者が訪れました。

この相談会は、完全予約制で相談時間を十分にもうけ、英語・ポルトガル語・スペイン語等のボランティアの通訳の方に同席していただく事で、税理士と相談者との意思疎通も十分にはかることが出来、安心してご相談していただけます。

従事する税理士は事前に研修を受け、細部への対応ができるように準備をしています。

外国人納税者の相談を受けるにあたりまず検討しなければならないのは、納税者の居住形態です。我が国の所得税法では、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。
居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて一年以上居所がある個人です。さらに、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。

非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されます。

非永住者は、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去十年以内に住所又は居所を有する期間の合計が五年以下である個人を言います。国内において生じた所得(国内源泉所得)と、これ以外の所得(国外源泉所得)で日本国内において支払われたもの又は日本国内に送金された者に対して課税されます。

次に検討すべきは、国外居住親族に係る扶養控除等の適用についてです。母国に生活費や教育費の送金をして、親族を扶養している場合、確定申告書に「親族関係書類」や「送金関係書類」を添付しなければなりません。

「親族関係書類」とは、国外居住親族が居住者の親族であることを証するもので、パスポート・戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書等がこれにあたり、国外居住親族の氏名・生年月日・住所等を明らかにします。外国発行の見慣れない書類が多く、日本語訳を用意する必要があります。

「送金関係書類」は、国外居住扶養等へ送金した事実となる外国送金依頼書控えや、クレジットカードの利用明細書がこれにあたります。

平成二十七年度の税制改正ではより厳格化が求められ、被扶養者本人への送金等の事実が明らかな書類が必要となりました。
外国人を雇用している事業所においても、年末調整等において前述同様の書類を確認する必要があります。

名古屋税理士会においては、「外国人のための無料税務相談会」をより充実したものとする為、また各税理士が外国人納税者に関しての相談に十分対応できるよう、一般会員全体での研修会を行い日々研鑽しています。

【税理士・山田康博】

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