1月 10 2017

医療費控除の特例について

Q1 医療費控除の特例とは何ですか。また、目的は何ですか。

A1 健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、スイッチOTC医薬品を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。
「自分自身の健康に責任を持ち軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHO)を目ざし、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取組を促進し、医療費の適正化を図ることを目的としています。

Q2 一定の取組とはどんな取組ですか。

A2 特定健康診査、予防接種(医師の関与があるものに限る)、定期健康診断、健康診断、がん検診のことです。

Q3 スイッチOTC医薬品とはどんな医薬品ですか。

A3 要指導医薬品及び一般用の医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことで、医師の処方が必要だった医薬品を薬局で買えるようにしたもののことです。
一般のドラッグストアー・薬局等で売られている風邪薬などで現在約1,500品目が指定されています。
なお、対象医薬品はこの税制の対象である旨の識別マークが掲載され、レシート等には商品名、金額、税制対象商品である旨、販売店、購入日を記載するようになっています。

Q4 対象者・適用時期は。

A4 本人及び生計を一にする配偶者・その他親族となります。適用時期は平成29年1月1日から平成33年12月31日までとなり、各年の確定申告で適用を受けることとなります。

Q5 計算方法は?

A5 (控除対象医薬品の合計額)-(保険金などで補てんされる金額)-12,000円で、控除限度額は88,000円までとなっています。

Q6 その他留意する事項はありますか。

A6 現行の医療費控除と重複しての適用はできないこととなっています。
現行の医療費控除か特例の医療費控除か確定申告時にどちらかを選択することとなりますのでご注意ください。

名古屋税理士会中津川支部・古屋伊須呂

1月 05 2017

名義預金 ~あげたはずなのに~

私達税理士が、相続税の申告書を作成するために、亡くなった方の財産を調べてみると、亡くなった方が、生前にご家族の名前で預貯金の口座を作られていることがよくあります。この家族名義の預金の中でも、実際には亡くなった方が管理していたものを特に「名義預金」といいます。ただ、名義預金には重大な問題が隠れています。

その問題とは、この名義預金が本当はどなたの財産なのか、簡単には判断できない、という事です。亡くなった方が、孫の名前で、定期預金を作っていたとします。でも「孫の名義だから孫の財産」とは言い切れないのです。場合によっては、亡くなった方ご自身の財産として、相続税の申告をしなければなりません。
亡くなった方から見れば、家族にあげたはずの預貯金なのに、自分の財産として扱われるのは大変不本意だと思いますが、相続税が課税されてしまうのはなぜでしょうか?それは、その「あげたはず」が問題だからです。

人から人へ財産をあげる事を「贈与」といいますが、財産をあげる側の人が「あげますよ」と言い、財産をもらう側の人が「もらいますよ」という意思表示をして、はじめて贈与は成立するのです。
先の例のように、祖父が孫の名前で定期預金を作り、その証書を孫に渡して孫が受け取り、「もらいました。ありがとう」と言えば、贈与は成立するのですが、もしも、その定期預金の証書を、祖父が持ったままで、孫が何も知らないとしたら、贈与は成立していません。その定期預金は、ただ孫の名前を借りただけの自分の定期預金、という事になります。そのまま、祖父が亡くなると、その孫名義の定期預金は、祖父自身の定期預金として扱われることになります。

では、家族名義の預貯金を作って贈与するときには、何に気を付けたら良いのでしょうか。それは、贈与の形を整えて「きちんとあげる」ことです。預貯金をあげるという事を家族に伝えて、通帳や証書、印鑑をその家族に渡します。贈与するという事は、もらった家族が、その預貯金を自分で管理して自由に使える状態にするという事です。ですから、ご自身の印鑑で家族名義の預貯金を作ることは、絶対に避けてください。家族が預貯金を自分で管理していない証拠になってしまいます。
もらう側が、未成年の子供の場合には、本人に、預貯金をあげることを伝えたうえで、親に通帳や証書、印鑑を預けます。その場合でも、子供が成人したときには、本人に渡さなければいけません。
また、贈与となると、もらった人に贈与税がかかることもあります。贈与を受けても、一年間で百十万円以下なら贈与税はかかりませんが、注意していただきたいのは、例えば平成二十八年の一年間に、祖父、祖母、父、母の四人から贈与を受けたとしたら、その合計額で百十万円以下かどうかを見るのです。超えている場合は贈与税の申告をしてください。平成二十八年分の申告は本年二月一日から三月十五日まで、所轄の税務署で受け付けています。e-Taxでも提出できます。

以上の内容に気を付けていただければ、家族名義の預金は、ちゃんとそのご家族へ贈与したものとして取り扱われます。

税理士 土屋雅彦

1月 05 2017

民法と相続税法の相続人

Q. 平成27年に相続税法改正があり相続税への関心が高まっていますが、民法と相続税法における相続人は同じと考えてもいいですか

A 相続税法における相続や遺贈については何ら定義的規定は無く、用語の公的解釈(通達)もありません。したがって相続税法におけるこれらの用語は民法の借用概念と考えられます。しかし民法と税法は立法主旨が異なり、相続税法の立法目的、内容、趣旨が異なることから全く同じではありません。

Q ではその両者の相続人に関する異同点はどんなものがありますか。

A. ①遺産に係る基礎控除の計算②相続税の総額の計算③生命保険金・死亡退職金の非課税限度の計算の3項目については、民法では
胎児は生まれたものとみなす。(但し判例は出生した時は認める、即ち停止条件説)・養子の制限はない。・相続放棄者は相続人とならない。相続税法では、申告書提出時までに胎児が出生していない場合はそれを含めないで計算します。・養子は原則として実子がいる場合は1人、実子がない場合は2人まで認められます。 相続放棄があった場合でも、無かったものとして計算しますが、後日生まれたときは再計算します。 ④生命保険金・死亡退職金の非課税規定の対象者は民法の相続人と同じですが、養子の制限はありませんが相続放棄者は対象となりません。 ⑤債務控除は民法では相続分に応じ承継され、相続税法では、債務も分割承継したものとしての計算控除が認められます(相続人、包括受遺者のみ) 制限納税義務者(海外居住者、1部例外ありますが)では課税税財産に関するもののみ控除できます。葬式費用は実際の負担者で控除できるが、無制限納税税者はできません。 以上主な異同点をあげましたが、
詳細はお近くの税務署か税理士までご相談ください。

【税理士 平岡 悟】

1月 05 2017

年頭所感

あけましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年4月にパナマの法律事務所から流出した内部文書いわゆる「パナマ文書」の分析から、タックスヘイブンを利用する多くの著名な政治家や富裕層の人々の名前が公表されました。外国資本と外貨獲得のために意図的に税金を優遇して企業や富裕層の資産を誘致する国や地域に法人を設立するなどして課税を逃れる、タックスヘイブンを利用した租税回避の実態が明かされました。年末にはその中に700人余の日本人の名前が確認されたとのことです。今年1月から既に、非居住者の金融口座情報を各国間で自動的に交換する制度が導入されており、これにより、日本においては来年以降、外国に開設された日本の居住者の金融口座情報が提供され、日本の税務当局が口座残高や利子配当等の年間受取総額等の情報を取得します。富は国境を越え、負担が軽い場所を探して移動しますが、これに対抗して世界的な情報交換システムの構築が進められています。また、多国籍企業による各国の税制の違いを利用した国境を越えた過度の節税策により、自国の税収が奪い取られる現象が問題視され、「税源浸食と利益移転」に対応するための国際課税ルールの見直し議論が進むなか、今後も租税条約の改訂と各国国内法の改正が続くと考えられます。

名古屋税理士会はドイツ・ミュンヘン税理士会との友好協定に基づき、2年ごとの交流を続けています。昨年10月にはミュンヘン税理士会の方々が来会され、活発な意見交換を行いました。歴史と文化が違い、それぞれ特徴のある税制と税理士制度があります。議論が深まるほど違いが浮き彫りにされて尽きることのない討論が続きました。有意義な国際交流が継続され、互いの立場を尊重した日独固有の制度から、将来は国際的に公正な課税制度の在り方まで話し合えるものにしていきたいと考えます。

また、昨年11月29日には税理士会館において、相続税をテーマとした「市民講座」を開講しました。税理士会館は平成3年竣工、翌4年に千種区池下の地に移転し、既に25年になります。この期を捉えて、形ある会館と身近な税理士会の存在を広く地域社会に広報するために企画したものです。税理士は、専ら事業者とは関係がありますが、一般納税者との接点は希薄です。相続税の課税ベースの拡大により、その申告と納税が必要になる納税者が相当数増加することが見込まれます。普段は税理士と縁がない納税者にとっても、身近な相談相手として我々税理士を活用していただけるように、社会に向かって発信する機会を設けました。幸い市民の方々の関心は高く、200名を超す来場者を迎え盛況に講座を開催でき、今月19日の第2回講座も成功する手応えを感じました。

名古屋税理士会は引き続き、税務に関する専門家として社会の要請に的確に対応し、真に国民・納税者の信頼に応える税理士制度の確立のための会務運営に努めて参ります。
皆様のご多幸とご活躍、そして平成29年が素晴らしい一年となることを祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。

年頭所感
名古屋税理士
会長 西村高史

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