6月 13 2017

個人型確定拠出年金と税

平成27年度税制改正により、平成29年1月から個人型確定拠出年金の加入対象者が拡大されました。個人型確定拠出年金は、加入者自身が掛金を拠出し、自己の責任において運用商品を選んで年金資産(積立金)を運用し、老後の生活に備える年金制度です。これには税制上の優遇措置がいくつかありますので、これらについてご紹介します。

 

Q:掛金に関する税優遇はどのようなものですか。

A:支払われた掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税(復興特別所得税を含む。以下同様)および住民税が軽減されます。実際の軽減額は加入者本人の税率によって異なります。例えば、掛金として1万円支払った場合、所得税率が20.42%の方は所得税が2,042円、住民税が1,000円(税率は一律10%)それぞれ軽減されます。

 

Q:運用に関する税優遇はどのようなものですか。

A:一般の金融商品は、利子や配当金などの運用益に対して20.315%の税率で税金が源泉徴収されますが、確定拠出年金の年金資産を運用して得た利益は、全額非課税となります。

 

Q:受給時の税優遇はどのようなものですか。

A:個人型確定拠出年金の給付には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金の3種類があります。

老齢給付金を年金で受け取る場合には、雑所得として課税され、公的年金等控除が適用されますし、老齢給付金を一時金で受け取る場合には、退職所得として課税され、退職所得控除が適用されますので、いずれの場合も税金が軽減されます。障害給付金を受け取る場合は全額非課税となっています。死亡一時金についてはみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として課税され、法定相続人1人当たり500万円まで非課税の適用がありますので、相続税が軽減されます。

 

 

名古屋税理士会多治見支部 小笠原稔

6月 01 2017

名古屋税理士会の中小企業支援についての取組み

名古屋税理士会では、平成27年度総会時において中小企業支援対策部が創設され2年が経過しようとしております。中小企業支援に係る業務は、税理士法第1条の使命・職責に鑑みれば極めて需要な責務であり、中小企業の存続・発展は、国や地域産業・経済の振興・発展に欠かせないものであるとともに、税理士制度の基盤を支えるものでもあることから、支援業務を積極的に推進する必要があると考えます。<税理士法第1条(税理士の使命) 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。>

名古屋税理士会では、次の4点を重点施策として、活動しております。①中小企業の経営支援・金融支援・税制支援に関する研修会を開催する。②会員が行う中小企業支援業務に係る関係機関と連携を図る。③会計参与制度及び『中小企業の会計に関する指針』の普及を図る。④『中小企業の会計に関する基本要領』の普及を図る。

具体的な活動としましては中小企業を支援する会員を支援するため、時事に適した研修会を年に3回程度開催したり、地域金融機関との懇話会も定期的に開催し、中小企業を支援するための協力体制を強固にすべく積極的に情報交換をしております。

名古屋税理士会は平成27年11月に岐阜県信用保証協会、平成29年3月に愛知県信用保証協会・名古屋市信用保証協会と、それぞれ「税理士連携短期継続保証制度」についての覚書を締結しました。同制度は名古屋税理士会に所属する税理士と各保証協会が連携をして、中小企業に短期的な資金を疑似資本的な形で供給するものです。内容としましては、保証期間1年以内の手形貸し付けで最大4回まで借換えが可能。最長5年間は利息のみの支払いとなり毎月の返済はありません。期間経過後は、一括返済または分割返済が選択できます。保証限度額は3000万円です。税理士が月次管理を行うことが条件の一つです。その他詳しい内容につきましては、最寄りの信用保証協会にお尋ねください。平成20年のリーマンショック以降の貸し渋りの解消策として拡充された信用保証制度により、企業は、銀行から資金の融資を受けやすくなりましたが、中小企業にとっては、長期の約定弁済のローンであるため、元本返済が毎月あり資金繰りをよくするものとは言えませんでした。この度、平成27年1月金融検査マニュアルの改訂により、これまで不良債権とされていた、「短期継続融資」いわゆる「短コロ」での融資が公認されました。短期で借りて金利だけを払っていく「短コロ」は、「疑似資本」に近い効果を持ちます。その結果、中小企業の資金繰りが安定し、財務体力の強化に大きく貢献するものだと考えられています。現に岐阜県信用保証協会では、この制度を開始してから1年以上になりますが、利用件数が470件以上、保証額は総額で81億円を超える金額で予想をはるかに超えるものです。上記の利用実績は当該制度が、いかに中小企業の実情に即した制度であるかを表しています。平成29年4月に愛知県・名古屋市でも同様の制度がスタートしております。資金繰りの解決策の決定打になり得る制度です。資金繰りに悩んでいる中小企業の事業主の皆さん、一度税理士に相談してみてください。税理士は中小企業を全力で支援してゆきますので、何かあれば是非、お気軽にご相談ください。

 

【税理士 今枝 清】

6月 01 2017

信託について・・・大切な財産を家族に託してみませんか

1.はじめに

「高齢になってきたので、判断能力が欠如する前に、自分の不動産の管理、処分を子に任せたい。」

「会社の経営権を早く子に譲りたいが、多額な自社株の移動コストがかかるので、とりあえず、議決権だけ子に譲りたい。」

こんな場合には、信託を検討してみてはいかがでしょうか。

 

「信託」と聞くと、信託銀行や投資信託という資産の運用を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、昨今、営利を目的とせず、自分の財産の管理などを親族などに任せる「信託(民事信託)」が、高齢者や障害者の財産管理や遺言に代わる財産の承継方法として注目されつつあります。

 

2.信託とは

信託とは、財産を信頼できる人(又は会社)に契約に基づいて預けて(託して)、預ける目的に従って管理してもらうことをいいます。信託は、財産を「預ける人(委託者)」と「預かる人(受託者)」と「預けられた財産から得られる利益を得る人(受益者)」の三人が当事者となります。

また、信託の特徴として、財産が信託されますと、信託期間中は受託者自らの判断でその財産の管理・処分をすることが基本ですので、財産の名義は委託者から受託者名義に変わり、民法上受託者が財産の所有者となります。このことは、「代理」や「委任」と大きく違う特徴です。さらに、信託できる財産には、現金、不動産、株式など制限がありません。

 

3.信託税制

信託では、受託者が民法上の財産の所有者となりますが、税法上は、原則、受益者が財産の所有者となり課税されることになります。

具体的に、父(委託者)の所有する賃貸不動産(信託財産)を子(受託者)に信託し、父が賃貸収入を得る(受益者)ケースを例に説明します。

(1)信託設定時

信託により父から子へ所有権が移転しますが、所得税法上は信託を目的とした形式的移転として資産の譲渡や取得に該当せず、所得税法上・相続税法上(贈与税)共に課税関係は生じません。したがって、所有権移転に伴う登録免許税や不動産取得税は非課税となります。但し、信託登記に関する登録免許税はかかります。

(2)信託期間中

所得税法上は信託財産である賃貸不動産の収入及び費用は父(受益者)に帰属するものとみなされ、その利益は父に対して課税されます。さらに、賃貸不動産を売却する場合には子が名義人として買主と売買契約を締結し代金の決済まで行いますが、その譲渡益は父に対して課税されます。

ここで注意が必要なことは、信託設定時、あるいは信託期間中に委託者と受益者が同一人でなく異なる者となったときは、父から新たな受益者に信託財産の贈与が行われたものとして、受益者に贈与税が課税されます。

なお、障害者の子の生活の保障のための特定障害者扶養信託については、一定金額まで贈与税の非課税特例があります。

次に、信託期間中に受益者である父が死亡すると、信託財産が相続財産となります。また、財産評価は、父が賃貸不動産を信託しない場合と同じになります。

(3)信託終了時

信託契約により信託期間が終了すると、子から親に信託財産の所有権の移転が行われますが、信託設定時と同様に課税関係は生じません。

 

4.おわりに

冒頭の自社株のケースは、父を委託者及び受益者(配当等を受ける財産権)とし、子を受託者(議決権)として信託契約を行います。このように、信託契約の内容は原則自由に定めることができるので、これまでの成年後見、遺言、遺産分割、事業承継等の制度では実現が困難であった問題にも、信託の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

【税理士 福本恵一】

6月 01 2017

多様な家族のあり方と税制 Q&A 配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

Q 多様な生活様式があるなか、配偶者控除は不公平な制度だから廃止すべきと議論されたことがあります。政府税調も配偶者控除について4つの案を提示していました。平成29年度税制改正では、それらの意見と異なる配偶者控除・配偶者特別控除の見直しがされた理由を教えてください。

A 民法は、家族はお互いに扶養義務を果たさねばならない、と定めています。税制の配偶者控除や扶養控除は民法を配慮したものと考えられています。社会経済環境の変化も税制に影響を与えます。今回の配偶者控除の見直しも経済環境の変化が大きな影響を与えていると言われています。

政府の予測では、日本の生産人口は1日約2000名の割合で減少していると言われています。ただし、夫婦共働きにより、減少幅をおさえられるともいいます。今回の配偶者控除・配偶者特別控除の見直しは、生産人口の確保のため就業調整を意識せず働ける仕組みをつくることに視点を置いたようです。いわゆる「103万円の壁」は、税制上は配偶者特別控除により家計収入に逆転現象を起こさない配慮がされていましたが「心理的な壁」として存在していました。

そのため思い切った見直しをし、2018年から103万円を150万円に引き上げられました、150万円というのは、時給1000円で一日6時間、週5日で働く年収144万円を超える給与総額であり、就業調整を意識せず働けるものとなりました。また配偶者特別控除も201万円に引き上げられました。ただし、財源確保等の視点から、本人の給与収入が1220万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。対象者は直近の統計では給与収入が1220万円を超えるのは給与所得者の約4%の180万人と見込まれています。

 

【税理士 岸田賢次】

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