8月 03 2017

住宅の増改築(リフォーム)と所得税の控除

Q今住んでいる住宅をリフォームすることになりました。所得税が優遇される場合があるそうですが、どのような内容でしょうか?

A大きく分けて、リフォームを借入で行った場合に適用できる住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)と、自己資金で行った場合でも適用できる税額控除があります。

 

Qローンを組んだ場合のローン控除の概要を教えてください。

A住宅ローン控除を受けることのできる一般リフォーム(耐震リフォーム含む)は、リフォーム費用が100万円超、居住スペース部分の費用が総額の1/2以上、借入金は10年以上の割賦償還であることなどを満たせば、当該借入金の年末残高の1%を10年間所得税から控除できます。

また、一般のリフォーム要件とは別の一定の要件を満たす、バリアフリー改修・省エネ改修・多世帯同居改修・長期優良住宅化改修については、「特定増改築」といい、右記の一般のローン控除との選択で、特定増改築部分は控除率2%で、その他の増改築工事の部分は1%で5年間ローン控除が可能となります。

 

Q自己資金でリフォームをする場合の税額控除の概要を教えてください。

A右に列挙してある省エネ改修などの特定増改築に加え、耐震改修のリフォーム工事も対象になり、要件を満たせば、限度額がありますが、それぞれのリフォームの種類によって定められた標準的な工事費相当額(補助金の交付額は除く)の10%が控除されるなどの方法で控除額を計算します。

 

Q注意点はありますか?

Aこれらの控除は、選択して適用するものや併用できるものがあり、リフォームによって要件や計算方法もそれぞれですので、控除ができるだけ大きくなるような検討が必要です。また、いずれも住宅の所有者が行うリフォームについてその所有者の税金が控除の対象となるので注意してください。

 

【名古屋税理士会中津川支部・柘植麻美】

8月 03 2017

税理士の国際交流と他国制度比較

1.税制の他国比較を行う意義

名古屋税理士会はドイツのミュンヘン税理士会と友好協定を結び交流を続けています。この交流では4年毎に双方を訪問し、租税制度や税理士制度に関して意見交換や講演を行っています。租税制度などを他国と比較をすると、日本では当然と思っていた事項が他国ではそうなっていないことがあります。その理由を考えることで租税に対する理解が深まりますので、他国との交流や制度比較は有意義です。

以下、この交流で意見交換したドイツと日本との税制の違いの中で主なものを紹介します。普段日本で当然と思っていることについて、改めて考えさせられる機会になるものと思います。なお、ドイツは連邦のため州による税法の違いがありますが、以下ではミュンヘン税理士会が所在するバイエルン自由州の税制度を紹介します。

 

2.日本とドイツの税制等の具体的な相違点

(1)申告方法と所得概念

日本では所得税、法人税は納税者自身が税額計算を自ら行う申告納税制度ですが、ドイツは課税当局が税額を確定する賦課課税制度です。申告納税制度では税額まで納税者が計算し申告しますが、賦課課税制度では税金計算の基礎となる課税標準は納税者が課税当局に提供するものの、税金計算自体は課税当局によって行われます。税金計算を誤った場合の責任が日本のほうが重いといえるでしょう。

 

(2)所得概念

税金計算の基礎となる所得の概念自体も国によって異なります。日本は新たに得た経済的利得全てを所得と考えます(包括的所得概念)。しかし、ドイツでは反復継続的に発生しない経済的利得の中には所得に含まれないものがあります(制限的所得概念)。所得の範囲が国の実状により異なることを知らされます。

 

(3)課税単位

課税単位とは、課税対象となる所得を個人ごとに捉えるか、世帯全体で捉えるかということですが、日本の所得税の課税単位は個人単位のみです。これに対してドイツでは個人単位課税と夫婦単位課税の選択制で、納税者にとって有利なほうを選択できます。なお、課税単位の考え方には上記以外に家族単位で考えることもあります。

 

 

(4)法人税の対象

日本では法人の所得に対して課される税金は法人の規模の大小を問わず法人税ですが、ドイツの場合、法人の種類が人的会社と資本会社に分類され、人的会社(合名会社など)に対する課税はその会社ではなく、その会社の持分を持つ個人に課税され、税目も所得税になります(パススルー課税)。このためドイツでは歳入に占める法人税の割合が低くなっております。日本でも中小企業に対する税制として、パススルー課税の導入について検討してもよいのではないでしょうか。

 

(5)納税者番号制度

日本では平成28年1月からのマイナンバー導入で、本格的な納税者番号制度が開始されたといえますが、ドイツは日本に先行して番号制度を開始しております。ただし、ドイツでの番号制度の利用範囲は税分野に限られております。日本のように社会保障制度の分野に番号制が採用される予定は現在のところないようです。ドイツで番号制度の対象を限定しているのは、プライバシーに対する配慮が影響しているようです。

 

以上のように税制をドイツと比較してきましたが、他国との違いを理解することで、日本の税制の考え方を理解する一助になればと思います。

 

 

【税理士 大島幸一】

 

8月 03 2017

中小企業の設備投資に関する税制上の特典

中小企業に積極的な設備投資を促すことを目的とした税制には、これまでも中小企業投資促進税制、生産性向上設備投資促進税制などがありました。平成29年度税制改正では、既存の制度の一部を変更・拡充して中小企業経営強化税制が創設されました。既存の制度と組み合わせることにより、従来よりも幅広い範囲で設備投資に対する税制上の優遇を受けることが可能となります。

 

◆中小企業投資促進税制の見直し

中小企業者等が平成31年3月31までに対象資産を取得し事業の用に供した場合にその取得価額の30%の特別償却が認められます。また資本金等の額が3000万円以下の特定中小企業者等については特別償却に代えて税額控除を選択することが可能です。対象資産は、従来の対象範囲から器具備品を除いた機械装置、車輌運搬具、船舶、ソフトウェアが対象となります。それぞれに取得価額、対象物の要件が定められています。

 

◆中小企業経営強化税制の創設

平成29年度税制改正前まで施行されていた、生産性向上設備投資促進税制が適用期限をもって廃止されました。また、中小企業投資促進税制の上乗せ措置は改組され、新たに中小企業経営強化税制が創設されました。

中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等が、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウェアで経営力向上設備等に該当するものの内、一定の規模以上のものを取得等し指定事業の用に供した場合には、その取得価額から普通償却限度額を控除した金額までの特別償却(即時償却)、もしくは税額控除のいずれかを選択することができます。対象となるのは、①旧モデルと比べて生産性が年平均1%以上改善する設備、②投資収益率が5%以上の投資計画に係る設備、となります。改正前の中小企業投資促進税制の上乗せ措置と比べ、対象となる指定業種、資産の範囲が変更されています。

 

◆商業・サービス業・農林水産業活性化税制

中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の認定経営革新等支援機関による経営の改善に関する指導助言を受けた中小企業者等が、平成31年3月31日までの間に、経営改善設備の取得等をし、指定事業の用に供した場合には、その取得価額の30%の特別償却が認められます。また資本金等の額が3000万円以下の特定中小企業者等については特別償却に代えて税額控除を選択することが可能です。対象となる経営の改善に資する資産等は建物附属設備、器具備品となり、詳細は中小企業庁の「認定支援機関向けガイドライン」に例示されています。

 

◆固定資産税の特例

中小企業者等が平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得した場合、固定資産税(償却資産税)が3年間にわたって2分の1に軽減されます。

対象となる設備は次の二点について工業会等より証明書を取得できるものとなります、①一定期間内に販売されたモデル、②経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備。また、対象設備は機械装置、工具、器具備品、建物附属設備となりますが、それぞれに取得価額、販売開始時期、対象地域・業種などが定められています。

【税理士 長尾幸展】

8月 03 2017

Q&A  配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

平成29年度税制改正により、源泉所得税関係について配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われました。

 

Q1.配偶者控除の改正点について教えてください。

A1.配偶者控除について、配偶者の年収制限を現行の103万円から150万円に引き上げる一方で、居住者の合計所得金額が1,000万円以下とする所得制限が設けられました。

また、居住者の合計所得金額が①900万円以下の場合には38万円(老人控除配偶者48万円)、②900万円超950万円以下の場合には26万円(老人控除配偶者32万円)、③950万円超1,000万円以下の場合には13万円(老人控除配偶者16万円)と、3段階の控除額が設定されました。

 

Q2.配偶者特別控除の改正点について教えてください。

A2.配偶者特別控除について、配偶者の合計所得金額が現行の38万円超76万円未満から38万円超123万円以下に改正されました。

また、配偶者控除と同様に居住者の合計所得金額に応じて、配偶者の合計所得金額により、表のとおり9段階の配偶者特別控除額が設定されました。

配偶者の合計所得金額 配偶者特別控除① 配偶者特別控除② 配偶者特別控除③
38万円超85万円以下 38万円 26万円 13万円
85万円超90万円以下 36万円 24万円 12万円
90万円超95万円以下 31万円 21万円 11万円
95万円超100万円以下 26万円 18万円 9万円
100万円超105万円以下 21万円 14万円 7万円
105万円超110万円以下 16万円 11万円 6万円
110万円超115万円以下 11万円 8万円 4万円
115万円超120万円以下 6万円 4万円 2万円
120万円超123万円以下 3万円 2万円 1万円

 

Q3.改正はいつから適用されますか。

A3.平成30年分以後の所得税について適用されます。

 

【税理士 宮田文香】

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