3月 02 2017

税理士試験のしくみとその課題について

税理士になるための方法は「税理士法」によって定められています。税理士会では、税理士に対する信頼と納税者利便の更なる向上を図るために、税理士試験制度の改革を議論しているところです。今回は税理士試験のしくみとその課題についてご説明いたします。

 税理士となる資格について

次のいずれか一つに該当する者が、税理士となる資格があります。ただし、(1)又は(2)に該当する者については、実務経験が通算して2年以上あることが必要です。
(1)税理士試験に合格した者であること
(2)税理士試験を免除された者であること
(3)弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
(4)公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。別途、財務省令で定める税法に関する研修を修了することが必要) のいずれかに該当しなければなりません。

 税理士試験について

税理士試験とは、税理士になるために必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する試験で、年1回、例年8月上旬に各国税局・国税事務所の所在地等(全国12~16か所)で行われます。

 受験資格

税理士試験は、学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格が定められており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。主なものを紹介いたします。
【学識による受験資格】
(1)大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
(2)大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
【資格による受験資格】
日商簿記検定1級合格者または全経簿記検定上級合格者
【職歴による受験資格】
法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者

 試験科目

試験科目は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)の合計5科目の合格が必要となります。
税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよく、合格科目は生涯有効であり、他の試験制度にはない特徴となっています。

 合格基準

合格は各科目60点以上で、例年受験者の10~20%(科目により差があります。)が合格しています。合格科目が会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に達したとき合格者となります。

 税理士試験免除制度

税理士試験には、免除制度が設けられています。
具体的には、修士又は博士の学位を授与された者は試験の一部が免除(学位による免除)されます。また、官公署における国税または地方税に関する事務に従事した者のうち、所定の実務経験年数や国税審議会の指定した研修を修了した者については、試験の一部又は全部が免除されます。

 課題

税理士試験制度は、昭和26年(1951年)に制定されて以来、小規模な手直しは行われてきましたが、試験制度自体はほとんど変わっていません。近年は試験問題の高度化・複雑化に伴い受験者数も減少し続けています。時代の変化に対応し、納税者の期待に応え得る税理士制度とするためには、試験制度の見直しも必要であると考えます。
具体的な課題としては、他の国家資格に比べてハードルが高いとされる受験資格の見直し、納税者からの幅広いニーズにこたえるための現行の試験科目の見直し、受験者の負担を軽くして短期間での合格を可能とするための科目別合格制度の見直し、また、試験自体を暗記力や計算力を重視する試験から論理的思考を問う試験に変えていくことも視野に入れて議論しています。

税理士制度が国家や国民・納税者にとってなくてはならない制度として定着する中、特に次世代を担う若年層にとってさらに魅力のある制度として将来にわたり維持・発展を図るとの観点から法改正に向け検討しております。

【税理士 恒川貴光】

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