9月 07 2017

配偶者控除等の改正について

平成29年度税制改正において、個人所得税改革の第一弾として、①配偶者特別控除が適用可能となる配偶者の所得上限の引き上げ、②配偶者控除の利用に所得制限を設ける、という配偶者控除及び配偶者特別控除に関する見直しが行われました。

 

1.控除対象配偶者の定義の改正

今回の改正により、従来の控除対象配偶者は「同一生計配偶者」と改められ、同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者について「控除対象配偶者」と規定されました。

老人控除対象配偶者についても、従来通り控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上で、合計所得金額1,000万円以下である居住者の配偶者と定められました。

 

2.控除額の見直し

(1)配偶者控除

配偶者控除とは、収入の少ない配偶者がいる納税者に課せられる所得税や住民税において一定金額を所得から控除することで税負担を軽減する制度のことです。現行では、配偶者の合計所得金額が38万円(給与のみの場合年収103万円)以下であれば38万円(老人配偶者控除48万円)が控除されています。

今回の改正では、適用を受けることができる者について合計所得金額が1,000万円(給与のみの場合年収1,220万円)以下とする所得制限が設けられました。また、合計所得金額が900万円以下の場合、38万円(老人配偶者控除48万円)、900万円超950万円以下の場合、26万円(老人配偶者控除32万円)、950万円超1,000万円以下の場合、13万円(老人配偶者控除16万円)と、居住者の合計所得金額に応じて控除額が3段階となりました。

(2)配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が38万円を超えることで、配偶者控除を受けられないことによる手取額の逆転現象を税制上起こさないようにするために設けられた控除で、配偶者の所得が増加するにつれて減少する仕組みになっています。現行では、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円(給与のみの場合年収141万円)未満の場合に受けられます。

今回の改正では、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円(給与のみの場合年収201.6万円)以下に適用対象が拡充されました。なお、従来通り居住者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には配偶者特別控除は受けられません。配偶者控除と同様に居住者の合計所得金額(①900万円以下、②900万円超950万円以下、③950万円超1,000万円以下)に応じ、かつ、配偶者の合計所得金額の区分(9区分)に応じて配偶者特別控除額がそれぞれ逓減されます。

 

3.源泉徴収事務や年末調整の見直し

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに伴い、源泉徴収事務に関し改正がありました。新たに「源泉控除対象配偶者(居住者(合計所得金額が900万円以下である者に限る)の配偶者でその居住者と生計を一にする者(青色事業専従者を除く)のうち、合計所得金額が85万円以下である者)」が規定され、配偶者控除等の適用にあたっては源泉控除対象配偶者に限ることとなりました。

つまり、配偶者控除等について、居住者の合計所得金額が900万円以下の場合には、月々の源泉徴収で控除されることになりますが、合計所得金額が900万円超1,000万円以下の場合には、年末調整又は確定申告において配偶者控除等の適用を受けることになります。

なお、上記の改正は平成30年分以後の所得税について適用されます。

 

 

税理士 林  豊文

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