12月 07 2017

税理士のにせものについて

昔からよく売れる人気のある商品には偽物がつきものです。今でもブランド品の偽物の摘発が行われたニュースを見かけます。実は税理士もまた然り。税理士法の第52条で「税理士または税理士法人でない者は、税理士業務を行ってはならない」という規定があります。報酬の有無にかかわらず、税理士の資格を持たない者が、税務申告の代理代行や申告書や申請書の作成、税金の相談といった税理士業務を行うことは税理士法違反となり、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられることになります。

ところが、税理士のにせものは毎年出没し、被害にあわれる納税者が後を絶ちません。皆さんは誰が作った申告書でも税務署に提出し納税してしまえば問題はないと思われるかもしれませんが、それは違います。では、実際にはどのような被害があるのでしょうか。

 

(1)申告書や申請書に署名してもらえない

所得税でも法人税でも、申告書や申請書には作成した税理士の署名、押印をする欄があります。税理士の資格のない者は、当然ここに署名をすることができません。税務署では署名のない申告書は提出した納税者本人が自分で作成したと考えます。

 

(2)税務調査に立ち会ってもらえない

税務署が納税者のところに調査に来た場合、にせ税理士は資格がないので立ち会うことができません。もし立ち会ったら税務署の職員に、にせものであることがばれてしまいます。申告書を作成した者が立ち会えないと、税務署から質問されても納税者だけでは対応することは難しいでしょう。適切な反証ができないと故意に税金を免れたと見なされることもあります。

 

(3)責任を取ってもらえない

そもそもにせ税理士には毎年改正される税法に対する知識が不足していることが多く(ちなみに税理士は年間36時間の研修を受けることが義務付けられています)、税務調査によって重大な間違いが見つかることがあります。納税者の知らないところで脱税がなされていたり、ずさんな計算が行われていれば、本来なら支払わなくてもいい延滞税(利息)や加算税(罰金)まで負担したり、青色申告の取り消しなどの処分を受けることがあります。にせ税理士はこれに対して責任を取りません。

 

(4)申告書の信用を失う

税務調査で脱税とされ追徴課税がなされると、納税者は税務署に対しても融資を受けている金融機関に対しても信用を失います。その後、税務署が定期的に調査が入る可能性が高くなります。

最近ではメールやファックスで格安の料金で税務申告を請け負う広告を送りつける業者もいます。税理士かどうか不審に思われる場合には、税理士バッジや証票で確認することができます。また、日本税理士会連合会のホームページでも全国の税理士や税理士法人の氏名や所在地を検索することができます。

納税は国民の三大義務の一つです。私たち税理士による適正な申告がその義務を支えているのです。皆さんには資格のない者が税理士業務を行うことができないということを御理解いただき、にせ税理士を見かけた場合には、被害にあわれる前にお近くの税務署または名古屋税理士会へご一報ください。

 

【税理士 岡﨑壮男】

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