親切心の行為でも「税理士のにせ者」に?!

2010年7月8日

毎年確定申告の時期になると、「税理士のにせ者に注意!」といったポスターをよく見かけるようになります。情報技術の進歩が著しい今日にあっては、税務申告のような専門的な知識を要するものであっても、ご自身で申告をされる方や税に興味をお持ちの方は、比較的容易に必要な情報を得ることができます。そのような情報や職場等で身につけた税務知識を、ご自身の申告のために利用される分には全く問題はありません。しかし、これらの情報や知識を他人のために用いた場合には、例え親切心からであっても、またタダ(無償)で引き受けたことであっても、税理士登録をしている方以外は法律違反となって、いわゆる「にせ税理士」「税理士のにせ者」になってしまいます。といいますのは、税理士法第52条によって、税理士又は税理士法人でないものは、法律に別段の定めがある場合を除き、税理士業務を行ってはならないと規定されているからです。これに違反した「税理士のにせ者」は、同法第59条により、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科せられます。例えば、納税者の皆様は、お知り合いやそうした方々の紹介等で、税理士登録をしていない下記のような人に税務相談に乗ってもらったり税務申告を依頼したりしてはいませんか?

* ・経営会計コンサルタント
* ・税務署員
* ・元税理士事務所職員
* ・会社等の経理担当者
* ・その他業者

 税理士又は税理士法人ではないこれらの人に申告書を作成してもらった場合、申告書に税理士の署名押印がなければ明らかに「税理士のにせ者」ということがわかりますが、例え申告書に税理士の判が押されていても、判を押した税理士が実質的にその申告書の作成に関与していない場合(いわゆる名義貸しの場合)、判を押した税理士は税理士の署名押印義務(税理士法第33条)及び信用失墜行為の禁止(同法第37条)に違反することとなり、申告書を実際に作成した人はやはり「税理士のにせ者」ということになります。
 「税理士のにせ者」に関する事件として、近年では、平成18年には神奈川県川崎市で元税務署員、東京都杉並区で経理代行会社社長が、今年平成20年には東京都品川区で行政書士が、それぞれ資格がないにもかかわらず税務申告書を作成した疑いで逮捕されています。
 このように「税理士のにせ者」が取り締まられるのは、もちろんそれが法律上認められていないからなのですが、実質的にも「税理士のにせ者」は調査に立ち会えないため、納税者の皆様に対して責任を持てず、また納税者の皆様も、税務調査によって例えば過少申告又は過大申告が判明すれば、経済的には損失を被り、社会的には信用が失墜するといった事態に陥ってしまう危険があるからです。
 ですから、納税者の皆様のお知り合いに税務に詳しい方がいるからといって、その方に税務相談に乗ってもらったり税務申告をお願いしたりすると、皆様自身が上記の損害を被る危険があるだけでなく、親切心で相談に乗ってくれたり申告書を作成してくれた方を結果的に前科者にしてしまうことになるのです。そのようなお互いに不幸な結果にならないようにするためにも、税務相談や税務申告を依頼する場合には、その方が必ず税理士登録をしている方であることを、(1) 税理士証票及び税理士バッジの提示を求める、(2)税務申告書の税理士の署名・押印を確かめる、(3)その税理士の事務所所在地を管轄する税務署の玄関にある税理士一覧に名札がかかっていることを確かめる、といった方法等で確認してください。
 納税者の皆様と、われわれ税理士の信頼関係が今後も揺るぎなきものであり続けるためにも、どうか今一度、皆様の「税理士」が「税理士のにせ者」にあたらないことをお確かめください。ご相談・ご連絡先は、名古屋税理士会(電話052-752-7711、FAX052-752-5055)です。

(税理士 安島祥矩)