臨税(税理士法第50条)について

2014年11月12日

1.臨税とは

 臨税とは、「臨時の税務書類の作成等」の略称であり、決して「臨時の税理士」では、ありません。
根拠条文である税理士法第50条等について要約を紹介させていただきますと、国税局長等は、地方公共団体の職員及び農協等の職員等に限り、租税の申告時期において、災害があつた場合その他特別の必要等がある場合には、税理士又は税理士法人以外の者に対し、その申請により、2月以内の期間に限り、かつ、所得税及び消費税の2税目についてのみ、無報酬で申告書等の作成等及びこれらに関する事項について相談に応ずることを許可することができるとされています。
この制度の趣旨は、確定申告時、税務事務が一時に集中することにより、限られた税理士だけでは小規模納税者に対するサービスが不足することを防止する観点から設けられました。
昭和26年の創設当時は税理士が全国で6千人ほどでありこうした制度が必要であったとしても、現在は7万4千人を超える会員数を擁する規模になっており、また、税理士による税務支援等も拡充しており、この規定の意味は薄れてきていると考えます。

2.臨税の問題点

 名古屋税理士会においては、本年3月に名古屋税理士会の全会員を対象に臨税(税理士法第50条)についてのアンケート調査を行いました。
  その結果、浮かび上がった問題点を次に述べます。

(1)税理士法50条違反

 アンケートの回答には、税理士法50条に違反している疑いのある具体的事例が多数寄せられました。
今までもそういった事例を噂としては聞くものの具体的な事例が明らかではありませんでしたが、アンケートで具体的に設問したことなどにより、噂で聞こえてきた事例では無く、実際に身近にあった、また、体験された事例のように思われる具体的な事例も数多く寄せられました。
内容としては、 税理士法50条の許可税目にない「相続税」、及び、「贈与税」、また「許可期間以外の所得税」などについて、違反事例かと疑われるような事例も散見されました。

(2)納税者(組合員)の不利益

 臨税の申告内容等に不適正な申告内容等で、納税者(組合員)が不利益を被っている事例も少なくなかったこと。
この場合、農協臨税の行う申告内容の適正性の確保とともに、申告内容に誤りがあった場合の納税者(組合員)の権利擁護と責任の所在が問題となります。
そして、何よりも農協臨税のおこなう申告内容の適正性が本当に確保されているのかも大きな問題となります。

3.名古屋税理士会管轄内の現状と取り組み

(1)名古屋税理士会管轄内の現状

 名古屋税理士会のこれまでの活動により、岐阜北、岐阜南、大垣、名古屋北、昭和などの各税務署の管轄内にある農協臨税は、すでに廃止になっております。
しかし、残念ながら未だ名古屋西、熱田、中川、半田の4つの各税務署管轄内の農協では、臨税が残っている状況です。
これらの農協臨税による各税務署に対する申告件数の合計数は、所得税が平成25年は3,292件、 24年は3,399件、平成23年は3,513件にのぼります。
同じく消費税については、平成25年は128件、平成24年は151件、平成23年は150件です。

(2)名古屋税理士会の取り組み

名古屋国税局はじめ、これら農協臨税が残っている各税務署、及び臨税の許可を受けている各農協に対して臨税廃止に向け継続して働きかけを続けているところであります。

(税理士 萩原芳宏)