所得の10区分

2014年11月12日

 現在、名古屋税理士会名古屋税務研究所では、個人の所得の区分が今のままでよいのだろうかを研究のテーマの一つとしています。

 所得税法では、その性格によって所得を10種類に区分しています。
 すなわち、①利子所得(預貯金や公社債の利子等)、②配当所得(株主や出資者が法人から受ける配当等)、③不動産所得(土地や建物などの不動産の貸付けによる所得)、④事業所得(農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得)、⑤給与所得(勤務先から受ける給料、賞与などの所得)、⑥退職所得(退職により勤務先から受ける退職手当等)、⑦山林所得(山林の立木を譲渡によって生ずる所得)、⑧譲渡所得(土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得)、⑨一時所得(懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金など継続的行為から生じた所得以外のもの)、⑩雑所得(公的年金、講演料、謝金等上記の所得のいずれにも該当しない所得)、以上の10の区分です。

 これは、「所得は、その性質や発生の態様によって担税力が異なる」という前提に立って、「公平負担の観点から計算方法、課税方法が定められている」と説明されています。
 利子所得、配当所得および不動産所得は資産性所得であり、給与所得、退職所得は勤労性所得、事業所得および山林所得は、資産性所得と勤労性所得が結合したものといわれています。資産性所得と勤労性所得は、ともに恒常性所得に該当、さらに、譲渡所得および一時所得は、臨時所得に該当し、そして雑所得は、これら9種類の所得のいずれにも該当しない所得をいうとされています。しかし、ずいぶんと複雑でわかりにくい体系で、納税者に説得力のある区分とは言い切れません。

 例えば、昨年、恒常的な馬券購入行為から生じた所得は一時所得ではなく、雑所得に該当するため、馬券の購入費用は払戻金を得るための必要経費に該当すると判示、納税者側の主張を認める判決がありました。
 所得税の取扱いでは、競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等は一時所得に該当する、と通達に明記されているにもかかわらず、判決では、「(本件)馬券購入行為は娯楽の域にとどまるものとは言い難く、恒常的に所得を生じさせ得るものであったから、雑所得に分類される。また、当たり馬券の購入費用は払戻金を得るために『直接に要した費用』に当たるのは明らかで、外れ馬券の購入費用もその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用として必要経費に該当する」とも判示したものです。

 通達の出来た時代背景や、個人のライフスタイルが大きく変わってきているので、税法も対応していくべきだと示唆した判決です。所得分類の問題は、納税者の利害に密接な関係を持ちますので、各種所得の意義や範囲を検討する必要があります。

(税理士 長谷川敏也)