相続対策 初めの一歩

2015年3月18日

 昨今、「終活」という言葉が使われるようになりましたが、自分(ここでは被相続人)の相続は終活の最たる例です。安心して終活を進めるためにも、自分の相続をしっかりと考えたいものです。平成27年1月1日から、相続税が大きく変わりました。基礎控除額が大きく引下げられたこともあり「大増税」と言われ、相続に備えた「相続税ビジネス」も活況を呈しています。慌てず、自分らしさを失わず、利用できるものは上手く利用していただきたいと思います。また、相続は残される相続人の問題でもありますので、できる限り被相続人と相続人とで共同で課題を解決していくことが理想です。
 相続対策を上手く進めるためには次のことを明確にしておくべきです。

  1. 法定相続人の確認
  2. 誰が相続対策を進めていくか
  3. どのような期間で相続対策を進めていくか
  4. 財産の把握(必要資料の保管場所の記録も忘れずに)と相続税の試算
  5. 残したい財産と残さなくても良い財産を検討する
  6. 贈与をする人(受贈者)の範囲の検討
  7. 財産の分け方を考える

以下、簡単ではありますがそれぞれを説明していきます。

  1. 法定相続人の確認
     基本的なことですが、相続税の計算上も重要な事項ですので、法定相続人を確認して下さい。
  2. 誰が相続対策を進めていくか
     親(被相続人)だけで進めるのか、親子で共同して進めていくのかなど。ナーバスな問題もありますので、誰の下で相続対策を進めていくのかを明確にした方が良いと思います。
  3. どのような期間で相続対策を進めていくか
     いつ相続が発生するかは誰にも分かりません。相続対策はある意味「時間との戦い」になります。20年あればできることと1年でできることは大きく異なります。早めにスタートすれば選択の幅が広がることは間違いありません。
  4. 財産の把握(必要資料の保管場所の記録も忘れずに)と相続税の試算
     プラスの財産、マイナスの財産を把握し、相続税評価額により評価します。評価した時点で、相続税がいくらになるかを試算し、実効税率(相続税の試算金額÷財産の相続税評価額)を求めます。相続対策の具体案を検討する基礎資料として重要です。
  5. 残したい財産と残さなくても良い財産を検討する
     相続税の試算金額が大きくなった場合、相続人が全ての財産を相続後も継続して所有し続けることが難しい場合もあります。被相続人の生前に売却するなども含め、残したい財産と残さなくても良い財産を明確化する、あるいは重要性の順位付けをすることで対策が効率よく進みます。
  6. 贈与をする人(受贈者)の範囲の検討
     財産を減らす有効な手段に贈与があります。一般的には、相続人である子供や子供の子供(孫)に財産を贈与することが多いですが、相続人の間で不平等感が発生することにもつながりますので、あらかじめ贈与をする人の範囲を検討して、当事者間で合意しておくのが良いと思います。
  7. 財産の分け方を考える
     相続が発生した後の財産の分割と、生前に誰にどの財産をいつ贈与して財産を減らしていくかなど、財産の分け方には色々あります。贈与税を納付してでも贈与をする場合は、4で求めた実効税率を基準に贈与する金額を検討します。また、それぞれの家庭の事情、相続人間のバランスなどの心情的なこともありますし、時間の制約もあります。「争続」を避けるためにも、また相続税の負担で苦しまないためにも、被相続人の置かれた環境の中で後悔のないようにじっくりと財産の分け方を考え、決めたら迅速に実行することが望まれます。

 このように、相続対策は、一朝一夕でできるものではありません。早めにご検討されることをお勧めいたします。

(税理士 出口 茂)