多様な家族のあり方と税制 Q&A 配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

2017年9月15日

Q 多様な生活様式があるなか、配偶者控除は不公平な制度だから廃止すべきと議論されたことがあります。政府税調も配偶者控除について4つの案を提示していました。平成29年度税制改正では、それらの意見と異なる配偶者控除・配偶者特別控除の見直しがされた理由を教えてください。

A 民法は、家族はお互いに扶養義務を果たさねばならない、と定めています。税制の配偶者控除や扶養控除は民法を配慮したものと考えられています。社会経済環境の変化も税制に影響を与えます。今回の配偶者控除の見直しも経済環境の変化が大きな影響を与えていると言われています。

政府の予測では、日本の生産人口は1日約2000名の割合で減少していると言われています。ただし、夫婦共働きにより、減少幅をおさえられるともいいます。今回の配偶者控除・配偶者特別控除の見直しは、生産人口の確保のため就業調整を意識せず働ける仕組みをつくることに視点を置いたようです。いわゆる「103万円の壁」は、税制上は配偶者特別控除により家計収入に逆転現象を起こさない配慮がされていましたが「心理的な壁」として存在していました。

そのため思い切った見直しをし、2018年から103万円を150万円に引き上げられました、150万円というのは、時給1000円で一日6時間、週5日で働く年収144万円を超える給与総額であり、就業調整を意識せず働けるものとなりました。また配偶者特別控除も201万円に引き上げられました。ただし、財源確保等の視点から、本人の給与収入が1220万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。対象者は直近の統計では給与収入が1220万円を超えるのは給与所得者の約4%の180万人と見込まれています。

 

【税理士 岸田賢次】