大事業承継時代到来

2019年4月10日

雇用の7割を支える中小企業の成長は日本経済の活力を高めるうえで欠かせません。ところが後継者不足が深刻で、廃業に追い込まれる例も少なくありません。中小企業の後継者不足問題は、総合的な対策を講じる時にきています。経済産業省は2025年には6割以上の中小企業経営者が70歳を超え、このうち現時点で後継者が決まっていない企業は127万社あると試算しています。廃業の増加によって2025年までの累計で、約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性があるとも予想されています。驚くべき数字であると思いませんか。

また、中小企業庁の統計によれば、中小企業の経営者年齢の分布において、この20年間で経営者年齢の山は47歳から66歳へ移動しています。つまり図は、この20年で経営者の世代交代が行われなかったことを表しています。直近の経営者の平均引退年齢は、中規模企業で67.7歳、小規模事業者では70.5歳となっており、これから数十万の団塊経営者の引退がはじまります。まさに「大事業承継時代」を迎え、事業承継は日本の切実な問題と考えており、これを解決すべく中小企業庁では、平成29年度から事業承継ネットワーク構築事業をスタートさせました。全国19都道府県が事業承継対策に取り組み、平成30年度では、さらに多くの都道府県の参加が見込まれています。国をあげて事業承継問題への取り組みが今まさに始まっています。

平成30年度税制改正において、事業承継税制も抜本的に拡充されました。今後5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際の承継を行う者を対象に、事業承継の際の贈与税・相続税の納税が猶予されます。具体的には、①対象株式数・猶予割合の拡大、②対象者の拡大、③雇用要件の弾力化、④新たな減免制度の創設等が主な内容です。今まで使い勝手が悪いと思われていた事業承継税制が改正されたことにより、スムーズな承継が可能となります。

これを受けて、日本税理士会連合会では税理士のみが閲覧できる事業承継を目的としたマッチングサイトの構築を予定しています。経営者と接することの多い税理士が支援して企業情報を交換することにより、企業に寄り添った形でのマッチングが可能となり、経営者の若返りを後押しします。将来的には全国規模での稼働を目指しており、多くの事業承継を支援していくことが可能となります。名古屋税理士会においては事業承継に関する研修会等を開催し、会員への情報提供を積極的に行っております。事業承継について気になることがある経営者の方は、身近な税理士へお気軽にご相談ください。

【税理士 今枝 清】