税務手続の電子化

2019年4月10日

 平成16年に国税電子申告・納税システム(e-Tax) が開始され、さらに翌平成17年より地方税ポータルシステム(eLTAX)が導入されて以来、電子申告の利用割合は毎年増加してきています。

 

平成30年度税制改正における電子化の取組

 (大法人について電子申告を義務化)

平成30年度税制改正において、資本金1億円を超える大法人について、平成32年4月1日以後開始する事業年度に係る法人税、地方税などの申告書について電子申告による提出が義務化されました。大法人が電子申告によらず書面により申告した場合には無申告として取り扱われ、無申告加算税等が課せられることとなります。

同改正規定は意外と思われるかもしれませんが、平成27年度における法人税の電子申告割合は75.4%であったところ、大法人に限ってみると電子申告割合は52.1%にすぎず、電子申告をする法人の多くは中小企業といわれています。これは、中小企業の法人税申告については税理士が代理送信をするなどして電子申告が普及している一方で、大法人については独自の会計・税務システムを構築しており電子申告に対する対応も困難であったという事情もあるようです。

なお、諸外国においても一定の法人について電子申告が義務化されている例は多く、我が国でも電子申告の比率を高めるための措置として導入されたものといえます。

(年末調整手続きの電子化)

年末調整手続きが電子化され、平成30年分以後の所得税についてネットで完結できるようになります。これまで紙ベースで生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除の証明書を保険会社、銀行等から受け取り、作成した申告書に添付して勤務先に提出していたものが、各種証明書について電子データで受け取り、作成した申告書データとともに勤務先に提出することができるようになります。

(青色申告特別控除の見直し)

所得税において、平成32年分以後の所得税より青色申告特別控除の控除額が65万円から55万円に引き下げられることとなりましたが、電子帳簿保存または電子申告をしているものにかかる青色申告特別控除の控除額は65万円とされます。なお、正規の簿記の原則による記帳が要件とされていることは従来と同じです。

(適格簡易請求書の電子化)

消費税の軽減税率における適格請求書等保存方式による適格請求書の交付については、平成35年10月1日以後の国内課税取引より、書面の提出に代えて電磁的記録(電子レシート等)を提供できることとされます。

 

税務手続の電子化の方向性

政府税制調査会は、平成29年11月20日付で「税務手続の電子化に向けた具体的取組(国税)」および「同(地方税)」を発表し、今後の税務手続の電子化に対する方策を発表しました。

具体的には、平成30年度税制改正で上記に掲げたもののほか、個人所得税の「スマホ申告」や、電子申告の認証手続きをIDとパスワードのみで可能とするなど利便性や簡便性を高める取組みが挙げられます。さらに、納付のキャッシュレス化の実現、各種手続きや複数の提出先に対して一括・一元的にデータを作成しデータのまま提出できるようにして、手続きの負担軽減や官民双方のコスト削減を図る取組などが掲げられています。

また、eLTAXを活用した共通電子納税システムを導入し、全地方団体で電子納税に対応可能とし、平成31年10月を目標に運用開始を目指すとしています。

今後さらなるICT(情報通信技術)の発達により、電子申告・納税をはじめとした行政サービスの電子化は、ますます進展していくものと思われます。

【税理士 小林正俊】