消費税のポイントと納税準備

2011年4月21日

 消費税が導入されて20年余りが経ちました。昨今は消費税率の引上げが頻繁に議論され、税収面での重要性が今後も増大することと思われます。消費税率の引上げにともない、事業者の納税額も大きくなる可能性がありますので、消費税に対する理解を深め、適切に対処していくことが必要です。事業者としての消費税の基本事項をご紹介します。

1.消費税の性格
 消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。「預かった消費税」から「支払った消費税」を差引いて、残った金額を納付しますので、本来は事業者に負担がかかるものではありません。税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的には商品、サービスの提供を受ける消費者が負担することになります。

2.2種類の課税方式
 消費税の課税方式は2種類あります。原則課税方式と簡易課税方式です。

 原則課税方式
 「預かった消費税」から「支払った消費税」を差引いて納税額を計算します。消費税の基本的な考えに沿った計算方式で、通常はこの方式により計算して納税します。

 簡易課税方式
 先に述べました原則課税方式は、「預かった消費税」と「支払った消費税」の両方を計算しなければなりません。ところが中小の事業者、特に小規模の個人事業は簡易な帳簿に頼る事業者もあり、「支払った消費税」を正確に算出することが負担となる事業者もいます。そのため、消費税法では、基準期間の課税売上高が5千万円以下の中小事業者が選択できる課税方式として、簡易課税方式が設けられています。
 この簡易課税方式は、「預かった消費税」に一定率(みなし仕入率)を掛けて算出した額を「支払った消費税」とみなして簡便的に納税額を計算する方法です。大変わかりやすい課税方式ですが、原則課税に比べて不利になる場合もあります。
 例えば大規模な設備投資をした場合や多額の修繕を行なった場合など、みなし仕入率により算出した「支払った消費税」の額よりも、実際に「支払った消費税」の額の方が大きくなる場合があります。このような場合には、簡易課税方式で計算すると、原則課税方式より不利になってしまうことがあるわけです。
 原則課税方式と簡易課税方式のどちらを選択するかについては、選択届出の期限もありますので、早めに税理士に相談することをお勧めします。

3.消費税の納税準備
 消費税の納税時には納税資金に苦労する場合が多々あります。消費税率が引上げられた場合、納税額も大きくなることが予想されますので、経営の安定上、納税予想額を把握できるようにしておくべきです。簡易課税方式を選択した場合は、「預かった消費税」の額が把握できれば、納税額を算定することは容易ですので、月次においても大きな手間をかけずに納税額を知ることができます。原則課税方式で消費税計算をする事業者であれば、税抜処理(取引毎に「預かった消費税」、「支払った消費税」を抜き出して計算する方法)を採用することにより、「預かった消費税」の額と「支払った消費税」の額とを常に把握することができ、納税額を算出することが可能です。消費税の納税に苦労している事業者には、税抜処理による消費税計算の採用をお勧めします。

○簡易課税方式の事業区分とみなし仕入率

事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで消費者に販売する事業)
第三種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業等
第四種事業 60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業以外の事業(飲食店業、金融、保険業等)
第五種事業 50% 不動産業、運輸通信業、サービス業等(第一種事業から第三種事業までに該当しないもの)

(税理士 出口 茂)