連帯納付義務の見直し

連帯納付義務とは?

 相続税は、相続により取得した財産の価額を限度として、他の共同相続人が納付すべき相続税額について連帯して納付しなければならない義務が定められています。これを「連帯納付義務」といいます。
 (贈与税についても、財産を贈与した者は、その贈与した財産の価額に相当する金額を限度として、贈与を受けた者と連帯して贈与税を納付すべき責に任ずる旨規定されています。)
 したがって、この制度に基づき、相続人の一人が相続税を滞納した場合には、他の共同相続人にその納付を求める場合があります。
 例えば、相続人の一人が延納許可を受けて20年間の年賦による分割納付を行っていたものの、その後の資力の状況等の変化により、分割納付が困難となり、滞納が発生する場合、国税当局は、他の共同相続人に対して連帯納付義務としてその滞納の納付を求めることになります。
 相続人として自己の納税は完了していても、他の共同相続人の納税が完了するまでは連帯納付義務を負います。この規定は期間の定めがないことから、相続税の申告期限から相当期間経過した後に、本来の納税義務者の資力が低下したとき、連帯納付義務者に対して督促が行われることがあります。そのときまで連帯納付義務者が全く事情を知らない場合や、連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する時点では長期間が経過しており、既に多額の延滞税が加わっている場合などがあり、極めて問題でした。

平成23年度税制改正

 平成23年度税制改正においては、相続税の大幅な見直しは見送られましたが、連帯納付義務者がその義務を履行する場合に負担する延滞税、現行14.6%については、同人の責めに帰すべき事由がある場合を除いて、利子税4.3%に変えるなどの措置が講じられました。
また、税務署長等は、本来の納税義務者に対し相続税の督促をした場合において、その督促に係る督促状を発した日から1月を経過する日までにその相続税が完納されないときは、連帯納付義務者に対し、①その相続税が完納されていない旨、②連帯納付義務の適用がある旨、③その相続税に係る被相続人の氏名を通知することとされました。
しかし、他の共同相続人が長期間にわたり不安定な状態が続く相続税の連帯納付義務制度は廃止すべきであり、贈与税の連帯納付義務についても同様であると考えます。
なお、平成23年度税制改正大綱の検討事項において、相続税の連帯納付義務については、「共同相続人による納税義務の履行の実態や租税の徴収確保の観点を踏まえ、そのあり方について幅広く検討を行います。」と記述されました。私たちは、これからも連帯納付義務廃止に向けて、改正要望を続ける予定です。

(税理士 長谷川敏也)