平成24年度税制改正のポイント

2012年3月22日

給与所得者に対する課税が見直されます!

平成24年度税制改正大綱によると、個人所得課税における主要改正点の1つに、「給与所得控除の見直し」があります。今回は、「給与所得控除の見直し」について解説します。
給与所得控除の見直し

1.給与所得控除の上限設定

①給与所得控除とは
給与所得控除とは、給与所得者の所得税や住民税を計算するときに、『給与収入から差し引ける分』をいいます。自営業者の場合は、商品の売上金額から仕入原 価や販売経費などの、必要経費を差し引くことができます。給与所得者の場合は、この必要経費の代わりに、給与所得控除が認められているわけです。給与所得 は、「給与収入-給与所得控除」という算式で求められます。
表1は、現行の給与所得控除額を簡易に求める表です。
(※表1)

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%,ただし65万円に満たない場合には65万円
180万円超  360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超  660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超 1,000万円以下 収入金額×10%+120万円
1,000万円超 収入金額× 5%+170万円

たとえば、給与収入が500万円の給与所得者は、給与所得控除額は154万円であり、給与所得を求めると500万円-154万円=346万円ということになります。
これが、年収2000万円の給与所得者となりますと、給与所得控除額は270万円となり、その給与所得を求めると2000万円-270万円=1730万円となります。
上記表によりますと、収入が増加するにつれて給与所得控除も常に増えていくことになっていますが、改正法はこれに上限を設けようとするものです
②今回の改正内容
今回の改正によって、給与所得控除額は一律245万円が上限とされました。この改正の影響を受けるのは、年間の給与収入が1500万円超の納税者で、税負担は増加します。

2.特定支出控除の見直し

 給与所得者が下記イ~ホの支出をした場合、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、確定申告によりその超える金額を給与所得控除後の金額から差し引くことができる制度(現行制度)があります。
イ 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
ロ 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
ハ 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
ニ 職務に直接必要な資格(一定の資格を除きます。)を取得するための支出
ホ 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
 これを給与所得者の特定支出控除といいます。改正点は、次の通りです。
①特定支出の範囲の拡大
特定支出の範囲に次に掲げる支出が追加されます。
イ 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費
ロ 職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費及び職務に通常必要な交際費(勤務必要経費)*ロは、65万円が限度となります。
②特定支出控除の適用判定・計算方法の見直し
その年の特定支出の額の合計額が、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を超える場合(現行:給与所得控除額を超える場合)は、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算できることになります。
イ その年中の給与等の収入金額が1,500万円以下の場合 その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
ロ その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合 125万円

3.適用関係

上記の改正は、平成25年分以降の所得税及び平成26年度分以降の個人住民税について適用されます。

(税理士:国枝宗徳)